昔の記憶
私はというと、比較的小さな時から家族旅行に連れて行ってもらっていた。
決して裕福な家庭ではないが、それでも割りと家族旅行は多かった方だと思う。
証拠写真がいっぱい残っている。
記憶は殆ど残っていない。
遠足も林間学校も、写真はいっぱい残っているのに記憶は殆ど残っていない。
小学校の高学年。 10歳とか11歳とかで行く「修学旅行」ですら、写真はあるが、記憶は殆ど無い。もっと酷い事に、中学時代の旅行も、高校の旅行すらも、私は行った記憶が無いのだ。
兄弟が多く、次男坊だった私は、しっかり者の年子の兄に、いつもなんでも任せっきりで、自分で物事を決断したことが無かった。
どこに行くにも兄貴について行って、兄貴が見つけた面白いものを横から割り込んでいって奪い取る。
そして飽きると、また兄貴を探し、纏わりついていた。
それだけは確かに覚えている。
家族旅行も、学校の旅行も、自分で行くと決断したわけではない。
おそらく誰もがそうだったように、通っている学校にいつもよりちょっと多目の荷物を持っていっただけだ。
そして、何日か後に家に帰った。・・それだけのことなのだ。
旅行中、どの電車に乗るとか、その電車の何両目に誰と乗るとか、着いたところで、そこから何処にいくとか、まったく興味が無かった。
ただ、着いて行っただけだった。
だから、なにも覚えていない。
団体からはぐれたり、迷子にでもなれば、その時初めて非日常の中に居る事を知れただろうに。
幸か不幸か、私は誰かに着いて行くことに関してはその時点で既に超ベテランだった。